S039成歓駅日本大勝利之図
「日清両軍大河にての交戦図」(静岡県立中央図書館の画題)は静岡県立中央図書館による仮題である。
内務省検閲許可
明治廿七年九月 日印刷
仝年九月 日発行
臨写印刷兼発行者 児玉又七 浅草區駒形町四十二番地
右図 清国将官洪某、山口陸軍中尉(大英図書館所蔵作品より)
中図 守田陸軍中尉、松崎陸軍大尉(大英図書館所蔵作品より)
左図 山田陸軍少尉、時山陸軍中尉、大島陸軍少将、福島陸軍中佐、橋本陸軍少佐
明治廿七年七月廿九日朝三時朝鮮國成歓驛二於テ開戦せり清軍二千八百人の堅塁を臨んで我陸軍ノ勇将激戦勇を極めて敵塁を打破り五時間にして我軍全勝清軍の死傷五百人および此戦に松嵜大尉ハ勇戦討死せり時山中尉ハ水中に勇戦水死せり𣘺本少佐山口中尉山田少尉ハ足部に守田中尉ハ頭部に銃創せり其他下士卒三十二人負傷五十人ありたりと云フ(中図の記事 大英図書館所蔵作品より)
三枚続きの左図のみである。大英図書館に同じ作品の異版が収蔵されている。そこからの情報をもとに、画題、画面情報および記事を補足した。
静岡県立中央図書館での分類は
このページの画像は静岡県立中央図書館のデジタルデータを利用して構成している。また、データに関しては東京大学史料編纂所錦絵データベースを参考にした。
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左図のみであるが比較してみよう。静岡→大英の順で記述する。
題箋や旗、日本兵の背嚢などに多用されている紅が鮮やか→くすんでいる。
川の水の色が遠景では落ち着いた水色→鮮やかな水色。
川の水の色近景では藍色→濃い灰色に変化する。
水中に没する清兵のズボンの色は暗い赤紫→明るい青紫。
銃の射線や人の肌の色などは明るい→暗い。
といった具合で、全体に静岡は赤色系統の発色が鮮やか、大英は青色系統の発色が鮮やかという全体としての違いが目立つ程度で刷りにおける製作時の改変はあまり感じられない。
上で比較したように大英図書館に3枚続きの完全な異版が収蔵されている。パブリックドメインとして公開されているので、BRITISH LIBRARY IMAGES ONLINE から画像を引用させていただいた。また、画像情報や記事などもその画像から補足したものを記載させていただいた。
大英図書館とアジア歴史資料センターの日英共同研究として、「描かれた日清戦争」というインターネット特別展示行われている。 注目すべきは清国側の絵画資料も56点展示されていることだ。さらに、この資料が蒐集されたのが、1895年であり、日清戦争とほぼ同時進行で収集されたということである。大英図書館のメッセージによると、「国際紛争を記す重要なビジュアルレコードとして認識していた」とあり、錦絵が記録画として評価されていたことがうかがえる。最初に収集に当たった大英博物館から1973年に設立された大英図書館のアジア部門に管理が委託され現在に至っている。
大英図書館での分類は以下の通りである。
成歓駅日本大勝利之図
大英図書館請求記号: 16126.d.1(25)
タイトル: 成歓駅日本大勝利之図
タイトル和訳:
絵師: 歌川国乕 (虎) (二代目) (?-1896)
出版元: 児玉又七
出版情報: 1894.9
大英博物館受入情報: 1895/06/11
内容: 成歓
注記:
製作国: 日本
サイズ (cm): 76.3 x 39.4
FilenameB20107-29
Source16126.d.1 (25)
Title of WorkSeikan no eki Nihon daishōri no zu
Shelfmark16126.d.1 (25)
AuthorArtist/creator"Utagawa Yoshitora II (.)"
Place and date of productionSeptember 1894
LanguageJapanese
Credit© The British Library Board
preview
The Battle of Seonghwan
16126.d.1 (25)
B20107-29
© The British Library Board