静岡県立中央図書館には膨大な浮世絵コレクションがあり、デジタルライブラリーで精細に見ることができる。その中から、西南戦争に関する錦絵を数点ずつ紹介していく。始めるにあたって考えたのが、どんな切り口で並べていこうかということである。データベースとしては、制作の順番とか作家別とかがわかりやすいのだろうが、同じ傾向のものが延々と続いていくと作業としてはあまり面白くない。ただ、一方では続けてやるから見えてくることもある訳で、例えば国会図書館所蔵の日清戦争錦絵の話になるが、以下に並べた
右田年英の三部作?などは服装も背景も全く似通っており、まるでアニメーションのコマ落しの様である。そんなことは連続的に見ていかないとなかなか気づかないだろう。
データベースとして整えていくということにはそんなわかりやすさが一番大事なことであるのは確かだ。静岡県立中央図書館の収蔵作品の量の多さと、作家別によく分類されているライブラリーを見るとそれがよくわかる。ただ、あまのじゃくな私はむしょうに何か別の方法をとってみたくなった。そして、今までに見ていないような絵がないもんだろうかと思って、選択したのがこの三作品である。前にブログでも取り上げた西郷星に関する作品と、城山での最後の様子を画題とした画、そして、初登場となる、豊原国周の役者見立ての絵など、国会図書館のものとはひと味違った作品がセレクトできた様に思う。静岡県立中央図書館からは高画質のデータを提供していただいている。今後少しずつご紹介していけると思う。
そこで、この三作品だ。Sナンバーは静岡中央図書館の所蔵品である。
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何とも奇抜な画である。気球に見立てた西郷さんの首が落下し、人民が愚痴を言っている。詳細は、ページをご覧ください。
血まみれ芳年の本領発揮の無惨画である。明治10年9月24日の鹿児島城下城山での西郷自刃の様子を写している。左図にあるしみもなんだか恐ろしげだ。
初登場の豊原国周の見立て西南戦争錦絵である。役者絵にそれぞれ薩軍のリーダーたちが見立てられている。