054 日清戰國凱旋之圖 楊斎延一
明治廿七年八月廿四日印刷
仝年仝月廿七日発行
臨写印刷兼発行人 長谷川園吉 日本橋区小傅馬町三丁目十一番地
長谷川園吉 出版 明治27年
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日本橋区小傅馬町三丁目十一番地の版元 長谷川園吉は御届印を招き猫の枠の中に書き込んでいる。日清戦争錦絵にとりあげているすべての作品がその形式になっている。絵師ははっきりしているすべてが楊斎延一である。
左図がその実際であるが、上から順に
054日清戰國凱旋之図(当ページの作品)
となっている。
ウェブ上で探した所では江戸東京博物館所蔵の「東京名所上野山下ステション開業式気車発車之図」は明治21年1月の発行であるが四角に囲んであるだけである。http://digitalmuseum.rekibun.or.jp/edohaku/app/collection/detail?id=0197200063&y1=1881&y2=1901
ただし、このにぎやかな絵のタイトルを囲んだ図柄は蒸気機関車の動輪であり、紅白の旗と提灯で埋め尽くされた景色を右上で押さえつけている。押さえつけなければ、その隣で、花火とともに空中に舞い上がっている、魚やだるま、金魚、ねこ、こうもり傘、日の丸の旗、そして、紳士などと一緒に画面全体が、はじけてしまいそうな騒がしい絵なのである。長谷川園吉のプランかどうかは定かではないが、少なくとも、こういう仕掛けを嫌いな版元ではなかったようだ。面白い画なので是非一度ご覧下さい。
他に野田市立図書館所蔵の「b04 朝鮮京城 大鳥公使大院君ヲ護衛ス」(楊斎延一画、明治27年刊)は招き猫型である。http://www.library-noda.jp/homepage/digilib/bunkazai/b.html
日清戦争開戦で錦絵のブームが再来し、よしとばかりに、制作し、売りまくった版元の気合いと、デザイン感覚、洒落っ気が合わさってこんな印になったのだろう。
後日追加した作品にも招き猫が登場。
S006日本大勝利成歓ノ戦ニ清兵ヲ破(039異刷)