MFA002 Scene of the Attack on the Land-based Battery at Weihaiwei
清親 ボストン美術館 蔵
清親 印
明治廿八年二月 日印刷
仝年 月 日発行
臨写印刷兼発行者 福田熊次郎 日本ハシ区長谷川丁十九バンチ
Kobayashi Kiyochika (Japanese, 1847–1915)
Publisher: Fukuda Kumajirô (Japanese) Japanese Meiji era 1895 (Meiji 28), February
MEDIUM/TECHNIQUE
Woodblock print (nishiki-e); ink and color on paper
DIMENSIONS
Vertical ôban triptych; 37.1 x 75.9 cm (14 5/8 x 29 7/8 in.)
CREDIT LINE
Jean S. and Frederic A. Sharf Collection
ACCESSION NUMBER
2000.254a-c
NOT ON VIEW
COLLECTIONS
Asia, Prints and Drawings
CLASSIFICATIONS
Prints
CATALOGUE RAISONNÉ
Virgin et al., Japan at the Dawn of the Modern Age (MFA, 2001), #56, photo p. 104; Asai, Kinsei nishiki-e sesôshi 8 (1936), pp. 16-7
DESCRIPTION
MFA impressions: 2000.254a-c, 2016.1587
SIGNED
Kiyochika
清親
PROVENANCE
Various dealers: primarily in London and Tokyo. Purchased between 1985-1999.
函館市版は上辺がトリミングされており、タイトルが切れているので、画題から想定した仮題『大寺少将戦死の図』がついている。こちらから。
比較してみよう。ボストン版は全体に明るいが、北海道版は暗い。これは、デジタル化における撮影にも関わるので、ビューワーで調整して比べてみると、函館版は赤みが少し強く出ているので、右図と中図の爆発と驚く馬の表現がより際立ったものになっている。ボストン版は左図の朧月のもと人力で野砲を運ぶ兵隊の墨がしっかりとコントラストを持っているので、右側の明と左側の暗が、爆発して膨張する軽さと重力で大地に押し付けられる重さの対比をより強調しているようなところがあって、清親の狙いをよく伝えているとも言える。ボストンのシャープなコントラストと函館の重厚な色彩といった対比になろうか。あとは好みの問題だろう。どちらが初刷に近いのかは不明。
以下は
http://gunka02nsn.blog.shinobi.jp/1895%EF%BC%88%E6%98%8E28%EF%BC%89/%E5%A4%A7%E5%AF%BA%E5%B0%91%E5%B0%86
から引用させていただいた歌詞である。
作詞 鳥山啓
作曲 鈴木米次郎
雲居を凌ぐ摩天嶺
容易く鳥も越えかねる
地の利を占めし敵塁の
護りは実に堅固なり
守りはよしや堅くとも
破れや破れとく進め
指揮する猛将誰なるぞ
大寺少将旅団長
頭髪上り眦裂け
駿馬を駆って馳せ登る
剛将の下に弱兵の
あらずと言うも理や
硝煙弾雨を凌ぎつつ
手負いと死人乗り越えて
ただひた攻めに攻め寄する
勢いいとも凄まじや
金城湯地と頼みつる
天険無双の摩天嶺
さしもに堅き砲塁も
我が手に今ぞ落ちにける
勇みて挙ぐる勝鬨に
山鳴り谷も応えつつ
黄龍の旗焼き捨てて
輝き渡る日章旗
敵艦はやくこれを見て
撃ち出す砲丸繋げれど
少将いとも悠然と
海上遠く見渡せり
この時敵の破裂弾
空気を切って飛び来り
砦の上に迸り
火炎は四方に散乱す
智勇を兼ねし良将も
痛手にさすが堪えかねて
摩天の嶺の淡雪と
儚く消えて失せにけり
ああ少将よ少将よ
皇国の為に身を捨てて
この敵塁を抜きしより
敵勢とみに挫折せり
この他数所の砲台の
瓦のごとく解けつるも
少将一死を省みぬ
忠勇義烈の結果なり
ああ少将よ少将よ
君をば撃ちし定遠は
幾程なくて我が軍の
雷火に脆く砕かれぬ
ああ少将よ少将よ
身は消えぬれど名を残す
栄誉は長くその山の
嶺より高く仰ぐなり