S005日本万歳百撰百笑北京嬢の落涙
明治廿八年二月 日印刷
仝年仝月 日發行
印刷兼發行者 松木平吉 東京日本橋区吉川町二番地
◯北京嬢の落涙 骨皮道人
モシお嬢さん貴嬢(あなた)ハ全体お先き真暗、殊に根も葉もない虚言(うそ)を突くのもお達者だのふ、今度に限って何故にマア其様に(そんなに)女素女素(めそめそ)お泣き成さいます、勿論永の年月住み馴て居らっしやる所を、日本の為に追沸はれるのだから、私しとても決して心嬉しいとハ思ひませんが、併し今更と成て泣たつて喚いたつて、所詮もう追付く話しでハ御座いません、泣児と地頭の幅を利かしたのハ、夫ハズンドの大昔し、今ぢやァ泣ッ面をすると蜂が螫す(さす)と申します「目から出るものハ涙」と云やァ一口話しにハ、成りますが、貴嬢(あなた)のやうに其様な情ない顔をして、オイオイと泣かれますと、泣く時の閻魔顔なんぞと駄洒落の種に遣はれ(つかわれ)ますから、もうもう必らずお泣き成さいますな 嬢「其方ハ主人に向つて何を失禮なことを云ふ、妾しハ閻魔なんぞでハ無いよ 男「ヘー夫でハ何と申しあげませう 嬢「妾しハ涙如来だ
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このページの画像は静岡県立中央図書館のデジタルデータを利用して構成している。また、データに関しては東京大学史料編纂所錦絵データベースを参考にした。
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