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N001榮城灣上陸后之露營

 

清興(印 清興)                   野田市立興風図書館 蔵

 

出版情報なし

 

函館市中央図書館蔵の異版の出版情報は以下の通り。

明治廿八年 月 日印刷

   仝年仝月 日發行

画作印刷兼發行者 松月堂松永作次郎 東京市日本橋區室町三丁目拾番地

函館市中央図書館に異版あり

函館市中央図書館に異版がある。『H037榮城灣上陸后之露營』であるが、

掲載許可をいただけたので、並べて比較してみる。

野田市立興風図書館版は全体に墨が薄い。そのせいかコントラストが淡くなっている。

函館市中央図書館版は墨が濃く、コントラストがきつい。以下野田→函館の順に記す。

野田版の右図下側に氷原の反射のような表現が見られる。色彩も薄い灰色から紫→緑と変化して独特だ。函館版は全体に落ち着いたグレーのグラデーションでまとまった印象がある。また、山影にも同様に緑と紫の色調が混ざるのと、それほど激しくはでていないという違いがある。

中図下部の焚き火を囲む軍人の姿が、中心画題となるが、その炎の色が、橙色→赤色というのは大きな違いとして感じられる。ただし、これは、撮影条件にも左右されるところが大きいので刷り色とは一概に言えないだろう。

コントラストに関しては、左を向く軍人の左手の袖の背中側(後ろ側)が黒く潰れるかどうか、また、もうひとりの軍人の後頭部が黒く潰れるかどうかをみると、全体のコントラストのバランスの違いがわかるだろう。

左図においては、遠景に幕営が見えるが、コントラストが強い函館版のほうが、くっきりと見えている。床几に腰掛ける軍人の外套の裾の部分の色表現に大きな違いがある、函館版はかなり細かい色使いだ。出版情報は野田版にはないのだが、切り取られてトリミングされたようには見えない。もしかすると、出版情報を入れずに刷った後刷りなのかもしれない。そう考えると、繊細な色使いのある函館版との違いも説明できるかもしれない。

2021/10/10


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