105 根津砲兵大尉 飯田海軍大尉 吟光(下手横好印)
旅順攻撃ノ際軍司令官ハ陸海軍ノ連絡ヲ通センカ為メ或ハ海上颶風(うくかぜ、ぐふう=四方から吹きまわしてくる風)ニ逢ヒ或ハ闇夜渓谷ニ落チ屡々危険ヲ冒シ其任務ヲ全フシ誠ニ軍人ノ本文ナラスヤ
画面をクリックすれば拡大画像をご覧頂けます。
『H019根津砲兵大尉飯田海軍大尉』と『FSG002_Captain Nezu and Iida Establish Connection between the Army and the Navycitation』である。比較してみよう。
『根津砲兵大尉飯田海軍大尉』比較 |
|||
所蔵館 |
国立国会図書館 |
函館市中央図書館 |
FREER+SACKLER GALLERIES |
全体のコントラスト |
普通 |
濃い |
薄い |
雨 |
薄墨と薄い灰色だが、かなり控えめ |
墨と濃い灰色で強く表現 |
薄墨と薄い灰色(白に近くなる) |
軍服の細部や拳銃の表現 |
一番際立っている |
際立っているがつぶれ気味 |
普通 |
白手袋をつけている様子 |
はっきりわかる |
わかりにくい |
はっきりわかる |
雨や飛沫の白 |
左図のみ僅かにある、弱い |
弱い |
強い |
シミ・汚れなど |
少ない |
多少あるが気にならない ただし黄ばんでいる |
少ない |
函館市中央図書館版はやはりコントラストが強く、フリーアサックラーコレクション版は細部の表現が細やかに残っている。バランスとしては国会図書館版がいちばん良いようだ。保存状態によるものか、デジタル化にあたっての撮影条件の相違なのかは定かでない。ただ、全体を眺めた場合、細部の表現力よりは、コントラストの強さによって劇的な感じが強調されていると言わざるを得ない。嵐の中で母艦から上陸する2名の将校の行く手に立ち込める暗雲、、、といった感じは、どうしても、函館版に強く現れている。
他の版と比べるとフリーアサックラーコレクション版の左図と中図の背景のつながりがぎこちない。もしかすると左図のみ別の版からの流用かもしれない。