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060 川崎軍曹渡単身大同江                      作者不詳

 

明治廿七年九月三日の夜 我斥候兵大同江の岸に出しも一艘の舩だに無く剩へ(あまつさえ)霖雨の續きたる後とて溜々たる濁流之に漲り翼なくてハ渡るべくもあらず 此体を見し軍曹川崎伊勢雄氏ハ裸体剣を口に啣へ淘平濁浪之中に投じ山を崩すが如き奔流を物ともせず抜手を切て二千メートルに達せる大河を苦もなく北岸に泳き付しに 今迄寂實たりし敵兵忽ち銃丸を放ち面を向くべき隙なけれバ 氏ハ素早く河上なる敵舟を認め雨の如く来る銃丸を冒し之を曳き悠々泳き返るにぞ 頭に尾の有る豚兵は其膽勇(たんゆう)に気を奪はれ呆気に取られて見てありしと

 

国会図書館所蔵のこの作品はトリミングされており、左図欄外にある出版情報が失われているが、大英図書館に異版があり、情報を取得できた。

 

明治廿七年十月 日印刷

            月 日発行

臨写兼印刷発行者 横山良八 東京市日本橋区馬喰町一丁目四番地

 

 

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大英図書館に異版あり。


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